2026.01.23
一歩
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本日もあけました!
「いち・に・さん!」まるで、歩みを数えるような響きの日です。
「千里の道も一歩から」
日本のことわざですが、元々は中国古典の名著『老子』に由来すると言われ、千里は約400キロメートル(国や時代によっても一里の距離は異なり、当時の単位は一里約400メートルだったらしい)もの長い道のりになります。直線距離で言えば、東京-大阪間に相当し、これを自分の足で歩いて行くとなれば、それはとてつもなく気の遠くなるような道のりで、踏み出す前から無理だと諦めそうになってもおかしくないですよね。
でも、これを成し遂げられるかどうかは、最初の一歩にすべてがかかっている。その一歩をはじめないことには永遠に到達することは叶わない。逆説的に言えば、一歩踏み出しさえすれば、続く一歩一歩の積み重ねの先に、どれだけ時間がかかろうとも必ずやいつか辿り着けるということになります。
名実ともにレジェンドの域に到達された棋士、加藤一二三さんが昨日1月22日に逝去されました。史上最年少の14歳でプロ4段の中学生棋士となり、藤井聡太さんが塗り替えるまでの62年間、破られることのなかった記録でした。以降、史上最速で1958年にプロ棋士最高峰のA級八段に昇段、1982年に名人位に就き、史上最年長勝利も記録し、2017年の引退まで活躍された現役最高齢記録(現役勤続年数も最長)保持者でもありました。
数々の偉大な戦績だけでなく、多くの方から愛されたお人柄も含めた伝説も数知れない、記録と記憶に残る偉人は、最後の最後までレジェンドらしい生き様をみせてくださったように私には感じられました。
将棋とともに歩まれた人生の第一歩である誕生日は1月1日、1年のはじまりの元日でした。そして86年の生涯の幕を閉じられたのは、お名前に重なる1月23日の前日、1月22日。もし命日が1月23日になっていたら、それこそ神がかった奇跡として皆を驚かせたと思いますが、「もう三には進まない、一二・・・二でお終い」という粋な歩み納めをされたように感じたのです。また、その時刻は午前3時15分だったということですから、好きな将棋とともにあったご自身の人生を「最高!」と振り返られ、後進に対しても、みんな「さー行こー!」と励ましてくださっているように思えます。
「神武以来(じんむこのかた)の天才」と称された方であっても、長い戦いの道程は一歩一歩でしかなかったに違いありません。史上最多対局数の記録を持つ一方、それだけの勝負をした人にしか得られない栄誉である史上最多敗北数という大記録もあるからです。将棋の世界で、それだけの勝ちと負けを刻む壮大な千里の足跡を残された加藤一二三さんへ心から哀悼の意を捧げますとともに、自分も確かな一歩を重ねていきたいと思います。
”日に一歩”を一文字で「旦」と表してみます。たとえ小さな頼りない一歩でも着実に日一日と進めていけば、気づいた時には遥か遠くに辿り着き、想像を絶するほど天晴れな”旦(あけがた)”を迎えられることでしょう。
ご一読いただきまして、ありがとうございました
それではみなさま、よいあけがたを
