2025.11.13

トウゴウ

-95-

本日もあけました!
”大衆向け”に一律に施されてきた「マス教育」について、もう少し紐解いてみたいと思います。

前回例示した「マス広告」は、その前提として大企業による”大量生産””大量消費”がありました。企業にとっては経済活動として非常に効率良く猛烈な速度で成長を遂げられ、生活者にとっては信頼のおける大企業の高品質で安価な製品という安心安全が担保され、双方が満たされていた言わば「マス経済」ですね。その”安心”とやらやつには、「人と同じ」という価値も多分に含まれていたわけです。もっと言えば、大企業も「人と同じ方が安心だよ~」と声を大にして”正しい選択”を売ってきたことで、消費者であるユーザーにその意識を徹底的に植え付け、それを上手く利用した社会的価値としてのステータスやブームなど”世の風潮”を醸成してきたのです。

「マス教育」も全く同じです。国全体で提供される義務教育という、世界的にみても高品質なレベルを無償(給食代・制服費用等除く)で受けられる、安心安全な学びの場として学校がありました。まさに横並びの「人と同じ」という安心感もベースに。企業からすれば、大量の均質で高品質な人材をまとめて安価に仕入れられる安心安全な採用という恩恵を享受できてきたわけです。

そのようなマス教育は、2つの「トウゴウガタ」だったと言えるのではないかと私は考えています。
1つは「等号型」。本来、人間はだれしも生まれながらにひとりひとり違っているにもかかわらず、等しい形につくり上げようとする。外見として明らかな体格や顔に声等と、わかりづらい内面の性格や感覚に臓器等といった個人個人のすべてが -身体能力にしろ頭脳にしろ- 「不等号」の凸凹であるのを善しとせず、無理やり”均して”いく。みんなが最低限同じように一様にできるように、標準化の均質化で全体としての高品質を生み出そうとする「違い」が許されない工場的教育です。したがって、そこには好きや嫌い、得意・不得意、やる気云々はほぼ勘案されない「強制的」かつ「矯正的」な社会システムで、「違い」は時として「不良品」扱いされてしまいます。実際に「違い」が「悪い」とされた生徒は、文字通り「不良」と呼ばれていましたね。「不良」の反対は「良」ですから、規格製品化された「良」が基準であり、それを外れるものは不適格・不適合として認められないのです。「不良」はそれに対して疎外感を感じてより一層反発をする悪循環で、結局「良」も「不良」も学校や大人(=社会システム)によって生み出された存在です。

もう1つは「統合型」。同じ地域の、同じ年齢のこどもたちを集めて1つの学年に収める形です。能力や心身の成長速度に関係なく、飛び級もなければ留年もない、平等という名の元の不平等も生じます。さらに個の均質化に留まらず、集団で一律の行動にまとめあげる統合に及び、まさに軍隊的です。一糸乱れぬ運動会の行進や組体操など、実際に元は軍隊教育に由来するとの説があります。

こうして、”大量生産”された生徒たちは、その「等号」と「統合」の中で洗練された”優秀”な成績上位者を中心に、企業が求める社会人として”大量消費”される従業員になっていったのです。国や企業が求める人材と学校が育てる学生をマッチさせることを主眼にやってきたことは、決してひとりひとりの可能性に満ちたバラつきのある能力ではなく、全体としても個人としても画一化され「定型にハマる使い勝手の良い」消費材としての人間を大量に生産し続けてきたのです。だからロボットのように、いくらでも”代わり”がいる。創造性などというものよりも同調性や服従性が重要とされる。そんなことをやり続けてきた結果、見事「失われた30年」となった。(現在進行中…)
そして責任転嫁で「ゆとり」だの「さとり」だの、根本的でない教育改革で自らの意志と関係なく振り回された学生たちに平然と烙印を押す、とんでもなく罪深い社会と大人たちです。


日本は世界的に見ても起業家が少ないと言われますが、それは「マス教育」の産物として至極当然のことです。今でこそ躍起になって起業家教育を小学生時分など早期から行うほどの動きも出てきていますが、起業家の”先輩”たる社会人が不在な中、本当の意味で起業家精神が日本社会全体に広がり、浸透し、起業家が多く生まれ育つまでの環境になるには、相当の時間がかかるのではないでしょうか。

「マス教育」を捨て去り、「不等号」で「不統合」な教育にならなければ、持てる能力を最大限に引き出し、突出させてあげることなど到底できないと思います。これからは、好きや得意、やりたいなどで意気投合する仲間とともに様々なモノゴトに出合いながら、自発的にまなびに向かい、磨き上げ、育っていく「投合型」ではないかと思うのです。

ご一読いただきまして、ありがとうございました

それではみなさま、よいあけがたを!