2025.10.20
失敗ノベーション①
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本日もあけました!
前回、成功の確率について、ライオンの狩りを例示として挙げましたが、私が注目したいのは、「失敗(率)」です。だれしも輝かしい”成功話”に惹かれ、憧れの眼差しを向けがちですが、大切なまなびは、実は成功から得られることはほとんどないのではないでしょうか?
確かに”成功体験”というものは自信になるでしょうし、端から失敗を目的に、あるいは最終目標として取り組むひとは基本的にいないでしょう。でも「失敗は成功のもと」と言いますよね。それは単なる慰めではなく、そこに真理があるからでしょう。にもかかわらず、組織でも学校でも”失敗話”をさほど共有することが少ないのはなぜなのか、疑問でなりません。まなびの宝庫である”賞賛すべき失敗”よりも成功話、しかも実際よりも”盛りに盛った”アピール合戦に嬉々として耳を傾ける大人が多いことに違和感を覚え、辟易とすることさえあります。
ということで、タイトルの通り、この場では「失敗」に対して大いにフォーカスしてみたいと思います。成功の裏側にある”偉大なる失敗”こそ、イノベーションにつながるという視点で -広く知られているものも多いと思いますが- いくつか挙げていこうと考えています。
今日はその序章として、あらゆる面でライオンを凌ぐ「シベリアトラ(アムールトラ)」の話です。
・ネコ科最大の動物と言われ、主に中国東北部やロシア沿海地方のアムール川流域に生息
・現在、野生では400~500頭いると推定されており、IUCN(国際自然保護連合:International Union for Conservation of Nature)のレッドリストによる危機の評価は「絶滅危惧種」
・繁殖期や子育ての時期以外は基本的に単独で生活し、狩りも行う
・大きなオスの体重は300キロを超え、ヒグマを倒す力もあるという
・狩りの成功確率は低く、10回に1回程度
百獣の王と称されるライオンよりも大きく(もちろん個体差アリ)、群れではなく単独で大きな獲物を狩るという点で、単体の実力では「キング」に値するわけですが、狩りの失敗率もライオンの倍をいく「キング級」です。ネコ科最強、あるいは地上最強と言っても過言ではないほどの大型ハンターでありながら、実に9割以上は失敗というご愛嬌ぶりで、とても強くて恐ろしいキングな生き物でも失敗ランキングでは最弱クラスと知ると、なんだか勇気づけられます。
ただ、群れの場合の収穫は分け合わねばならず、取り分も少なくなったり、すぐになくなってしまったりするのに比べて、単独の狩りは成功した時の報酬を独り占めでき、大きな獲物であればお腹一杯食べられて、数日に分けて食事にありつくこともできます。つまり、失敗が多くても一度の成功で余りあるほどカバーできるのであれば、満足度や幸福度ランキングにおいて最高最強なのかもしれないですね。
ご一読いただきまして、ありがとうございました
それではみなさま、よいあけがたを!
