2025.10.15
ダブル
-76-
本日もあけました!
ノーベル賞とイグ・ノーベル賞の話題を続けて取り上げましたが、対極と言えるこの2賞を受賞した強者がいらっしゃるのをご存知ですか?
ロシア生まれのオランダ人物理学者アンドレ・ガイム氏です。2000年にイグ・ノーベル賞、2010年にノーベル物理学賞を受賞した、唯一のW受賞者です。
その2つの研究内容は、以下の通りです。
▼「カエルの磁気浮上」
・超伝導磁石を使って強力な磁場(16T)をつくり、その磁力で生きたカエルを空中に浮かせることに成功
・カエルの体は多くの水を含むが、水は磁石に反発する反磁性体という特性があり、強力な磁場の中では磁力に反発する力(反磁性磁気力)が発生
・上向きの反磁性磁気力と下向きの重力が釣り合う結果、微小重力(≒無重力)空間によるカエルの磁気浮上が生じる
▼「炭素新素材グラフェンに関する革新的実験」
・グラフェンは、炭素(カーボン)原子が六角形の蜂の巣(ハニカム)構造に並んだ2次元材料
・厚さ”炭素原子1層分”という超極薄な炭素シートで、それが層状に積み重なったのが鉛筆の芯にも使われているグラファイト(黒鉛)
・グラフェンの1層としての存在は熱力学的に不安定なため、取り出すのは困難とされてきた
・ガイム博士とコンスタンチン・ノボセロフ博士の2人は、層状物質であるグラファイトの塊に粘着テープをくっつけ、剥がしたものをシリコン基板に押しつけることを繰り返すという世にも簡単な方法で世界一薄い素材抽出に成功
と、あえて簡略化した情報を並べましたが、それぞれイグ・ノーベル賞とノーベル物理学賞のどちらを受賞した研究か、おわかりでしょうか?
答えは、前者がイグ・ノーベル賞受賞、後者がノーベル物理学賞受賞でした。
こうしてみると、イグ・ノーベル賞かノーベル賞かは紙一重のようにさえ感じてしまいます。
好奇心や遊び心に満ち、軽々と越境する「ねこだま」な博士に脱帽です。
W受賞に至ったその手法が、長年の常識を変えるにはあまりにも容易な方法だったことに驚きすぎて、思わずひっくりかえるほどズッコケてしまい、目まいで視界もダブるほどです。
ご一読いただきまして、ありがとうございました
それではみなさま、よいあけがたを!