2025.09.08
どんなモン②
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本日もあけました!
実際に目に見える「外見」の変化に対して、こどもたちの「内面」の変化はどうなっているのでしょう?
ただでさえ、内側は見えにくいもので、学力などといった表層的な数値ではない、こどもたちの深層に潜む核心的な変化に関心を払うおとなはあまりいないのではないでしょうか?
でも、ちょっと考えてみれば、「栄養摂取」によってこれだけ体格の変化があったのと同様、80年前とは量も質も比べ物にならない「情報摂取」の中で生きる若者の内的変化も大きいはずであると想像するのが自然ではありませんか?
最近では、「現代の1日分の情報量は江戸時代の1年分、平安時代の一生分の情報量」に相当するという説に触れることがありますが、喩えとして正確に言い当てているわけではないでしょうから、できるだけ具体的な数字を拾ってみました。
▼平成18年度情報流通センサス報告書:平成20年3月 総務省情報通信政策局情報通信経済室より
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/ic_sensasu_h18.pdf
※ここでは要点を絞って掲載するため、詳細(細分化された「分析対象メディア」「情報流通量の種類・定義」等)を知りたい方は、上記URLよりご確認ください
<情報流通量の種類・定義>
①選択可能情報量
各メディアの情報受信点において、1年間に情報消費者が選択可能な形で提供された情報の総量
②消費情報量
各メディアを通じて、1年間に情報の消費者が実際に受け取り、消費した情報の総量
▼①における「基準年である平成8年度に対する平成18年度の増加率(倍数)」
・530倍(2.29×1020ワード)となり、前年度比47.3%の増加。
・最も増加率が大きいのは、インターネットの15,404倍。これは、この10年間にインターネットが広く一般に普及し、またインターネット上に存在するデータ量が飛躍的に増加したため。
・空間系については、図書館(1.5 倍)、映画上映(1.4 倍)、社会教育(1.3 倍)が増加している一方、スポーツ観戦(0.8 倍)、学校教育(0.8 倍)が減少。
・パーソナルメディアにおいては、6,785倍となっており、インターネットの普及に伴い伸びが最も大きくなっている。
・マスメディアのうち、電気通信系においては、 4,940,000倍にまで急激に拡大。これは、放送メディア、なかでもケーブルテレビ局では、発信者(=ケーブル事業者)が多数存在し、またそれぞれのケーブルテレビ局が多くの番組を配信しているため。
・デジタルメディアにおいては、前年度比47.6%増(2.28×1020ワード)。一方、アナログメディアは、前年度比5.84%増(8.46×1017ワード)。
平成8年度以降、デジタルメディアは徐々に増加してきたが、近年その伸びが加速。アナログメディアは平成8年度以降一貫して増加しているが、その伸びはそれ程大きくはない。
・選択可能情報量の特徴としては、デジタルメディアの占める割合が高いことが挙げられる。全選択可能情報量に占めるデジタルメディアの割合は 99.6%であるのに対し、アナログメディアの同割合は 0.37%となっている。これはデジタルメディアであるインターネットが選択可能情報量の大部分を占めているため。また、インターネットにおける広帯域のサービスの普及や、CSデジタル放送の普及等により今後もデジタルメディアの増加傾向は続くものと思われる。
▼②における「基準年である平成8年度に対する平成18年度の増加率(倍数)」
・65倍(1.84×1018ワード)で、前年度比499%の増加。
・全体的な増加傾向の中で特に電気通信系の伸びが大きく、増加率が最も高いのはインターネットで709倍。空間系メディアについては、大きな増加を示すメディアはない。
・電気通信系パーソナルメディアが 98.7%と最も大きい。
・マスメディアが占める割合は 0.92%、パーソナルメディアは 99.1%。
・デジタルメディアでは、136 倍(1.82×1018ワード)の前年度比527%増と急速に増加。また、全消費情報量に占める割合は 99.1%。
・一方、アナログメディアでは、1.1倍(1.64×1016 ワード)の前年度比1.86%増とごくわずか。
・アナログメディアには、既存のメディアが多く、それらのメディアの市場は成熟したものであり、消費される情報量も比較的安定して推移しているといえる。これに対しデジタルメディアには、新規メディアが多く、それらの市場は現在も拡大を続けており、消費される情報量もそれに伴い増加しているといえる。
残念ながら、80年前とはメディア環境等が様変わりしている中、当時と比較できる確かな数字は、その算出の困難性もあって明示できるものはなさそうですが、「指数関数的」な情報爆発状態がこれからも続くことは間違いないと言えます。今回示した数字は、インターネットの登場以降のわずか10年(1996年から2006年)でこれだけの桁違いな情報洪水が起きており、そこからさらに20年経つ今はどうなっているか、この加速度的変化の観点に立てば、数字がなくとも80年前とは到底比較にならないだけでなく、「数年前と今」「現在と数年後」でさえ、それぞれとてつもない開きのある、別次元・異次元の世界であるのは、だれの目にも明らかです。そして、上述の赤字箇所の数字に表れている通り、アナログであり続ける学校教育は、2006年当時でこれだけ社会の変化と大きく乖離しているのです。
義務教育の歴史が80年近く。「ドラえもん誕生」まで、あと87年。つまりもう一周で「ドラえもんのいる世界」になるわけですが、その過程における情報社会で”情報の大量摂取”をして育つこどもたちは、2000年以降、あたらしい人間としての進化を加速度的に重ねている可能性がある、その見えない内面に目を凝らす必要があるように思えてならないのです。地殻変動の轟音鳴り響く文明開化の時代に、学校教育はどんな問題に向き合うべきか?まずは、こどもたちの内なる力の芽吹く「人明開花」の音に耳を澄ませることからはじめてみるというのは、どんなもんだい?
ご一読いただきまして、ありがとうございました
それではみなさま、よいあけがたを!