2025.09.03

へんてこ?!

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本日もあけました!

旅先でその存在を知り、完全に心を鷲掴みにされた『ねこだまなおとな』を紹介します。

とある用事で、この春先に山口県下関市に赴いたときのことでした。

道中みんなで、「ちょっと疲れたし、お茶でもして休憩したいね~」となり、近隣のカフェを調べたところ、旧下関英国領事館という超素敵な場所でアフタヌーンティーが楽しめるということで、即決でそのお店に向かいました。日本に現存する最古の領事館建築で英国伝統のアフタヌーンティーが供されることから大変人気のティールームで、当然のごとく満席にて順番待ちになったのですが、そのお陰で運命の出合いに恵まれたのです。
重要文化財である建物の1Fにはヒストリールーム(旧文書室及び待合室)や赤レンガ室(旧海事監督官室)のほか、ちょっとしたショップもあり、当時の領事館の雰囲気を満喫できるつくりになっていました。そこで、せっかくなので待ち時間を使って見学をと思い、見て回っていたところ、さりげなく壁際にあった「木製のスピーカー」に目が留まりました。それは、旧領事室にあり、展示というよりもインテリアのように1点モノとして置いてある状態でした。少しだけ簡易な説明書きがあり、目を通してみると「ただスマホを置くだけ」で音が増幅する、電気を一切使わない音響器という代物で、心がバンバン弾む一目惚れ状態でした。

その見栄えからして独特な、魅惑的な異彩を放つフォルムで、これは試さないわけにはいかないと、周りにほかの見学客がいるのも気にせず、好きな曲をかけてみたのです。すると、本当に素晴らしい音色が心地好く響き渡るではありませんか!!あまりの感動に、一緒にいた仲間を交互に呼びに行って、「これすごくない?」と興奮状態で、まるで宣伝マンさながらに今読んだばかりの説明を受け売りで話していたところ、その館の恐らく館長らしき方が近づいてきて教えてくださったのです。

「それは非売品なんです。以前に附属屋ギャラリー(同じ敷地内にある展示室)で、展示を行ったことがあり、お願いをしてその1点だけ寄贈してもらってここに置かせてもらっているんです。福岡在住の、趣味で作られている方の作品なんです。」

と。「こんなに見た目も音も素晴らしいのに、非売品?!。めっちゃ欲しい!!」と、私の中で驚きの声まで増幅してしまいましました。

その名も「のほほん」さん。「イイカゲン・ヘンテコ・トンデモ・役立たず木工遊び!趣味ののほほん木工房」というキャッチコピーや風変りなニックネーム、そしてその魅惑の離れ業のすべてが、「ねこだま」な匂いプンプンでした。笑 

しかも、こんなにも素敵なスピーカーのことを「ヘンテコスマホラッパ(スピーカー)」だなんて、謙遜にもほどがある!ヘンテコなわけがなく、これぞ天才の成せる業。その形状含めた発想にはじまり、唯一無二の美しさ、ダイナミックで素敵な音色を奏でる構造、それらを具現化する技術に脱帽でした。

それからというもの、時機をみて、ぜひ一度のほほんさんに相談をしたいと考え、先日メールでやり取りをさせていただきました。

「ラッパ(ホーン)スピーカー付きスマホスタンド(iphoneスタンド)」に出合い、実際に試聴して非常に感激したこと。館の方に伺い、非売品の趣味として木工房で創作されていらっしゃる福岡県在住の「のほほんさん」の存在を知るに至ったこと。ぜひそのようなおとなの存在、生き方等々をこどもたちにオンラインでつないで”魅せてあげたい”と切望していること。をお伝えしたところ、後日、のほほんさんからご丁寧な返信を頂戴することができ、改めて感激もひとしおでした。

結論としてはオンライン、バーチャルでの交流は難しいとの回答でしたが、「ねこだま」で作品を取り上げることは歓迎とおっしゃっていただき、もしいつかリアルの展示会などがある際には、喜んで展示の参加はしたいとのお話をいただくことができ、まずはこどもたちに木工づくりの動画等を魅せてあげることからはじめられるようになりました。

ご本人から直接伺えた簡単な木工エピソードを紹介します。

・最初は普通のDIY木工をしていたが、椅子やテーブルなどは美しく、素晴らしい作品を作られている方がプロ、アマ沢山いる。いつからか技術を持たない自分は、下手でも、美しくなくてもいいから人が作らないオリジナルな面白い木工作品をつくりたい!と思ってはじめたのが玩具作り。この分野はまだまだ色々新しく面白いおもちゃを作る余地が多く残されている。

・そして10年ほど前からはまってしまったのが、スマホ用のスピーカー(ヘンテコスマホラッパと呼んでいる)作り。こどもだけでなく、おとなも「ほう!」「おもしろいねぇ!」と言ってくれ、ますますはまっている。

正真正銘の『ねこだまなおとな』ですね。人と違うことをする。ご本人は、「正しい木工技術を学んだことがなく、木工技や治具はほぼ我流。また、正しく美しく作ることより、簡単に作ることばかりのイイカゲン木工。」とおっしゃられていましたが、でもその本質は「モノ作りはとっても楽しい。こどもたちにその面白さを知ってもらうことはとっても大切なことだと思う。」というお言葉に宿っていると私は深く感じています。

このスピーカーを前にすれば、音を奏でる「文明の利器たるスマホ」がお飾りのように霞み、逆に主役の座を華麗に奪い去るほどの存在感を放つ、”人明開花”の素晴らしい木工だと感服しています。
とてつもない『ねこだまなおとな』に魅了されました。きっと私と同じように、あるいはそれ以上に魅了されて感激し、ハマるこどもが出てくると思うと、楽しみで仕方ありません。

ご一読いただきまして、ありがとうございました

それではみなさま、よいあけがたを!