2025.08.21

なんだ、これは!

-38-

本日もあけました!

昨日でちょうど130日目を迎えた、Expo2025 大阪・関西万博。連日多くの人々が押し寄せ、この暑さの中、さらなる熱気を帯びているようですが、55年前の大阪万博(日本万国博覧会)は、未だに色褪せることのない伝説になっています。

そのシンボルは、言わずと知れた「太陽の塔」。大屋根を貫いてそびえ立つその姿は、身長約70m、左右に広げた両腕の長さは25m、胴回りは最も太い下の部分で20mもあるそうです。1970年当時、万博のシンボルゾーンに、テーマ館として「母の塔・青春の塔・大屋根(長さ(南北)292メートル、幅(東西)108メートル、高さ約40メートル)」とともに作られたものでした。
それは、3つの顔を持つ不思議な多面体の造形物で、塔頂部(頭頂部?)には金色に輝き未来を象徴する「黄金の顔」、正面には現在を象徴する「太陽の顔」、背面には過去を象徴する「黒い太陽」があり、これらは祭りの儀式を執り行う象徴的な存在として描かれました。過去・現在・未来を貫いて生成する万物のエネルギーの象徴であると同時に、生命の中心、祭りの中心を示したものだったのです。
テーマ館は、地上・地下・空中の3層の展示空間で、博覧会のテーマ「人類の進歩と調和」を最大限表現する場であり、「太陽の塔」はその中心に位置する全会場の象徴として、来場者(開催期間中の約6,400万人)を迎え、多くの感動を与えたのでした。
その内部は空洞になっており、生命の進化の過程を示す展示空間で、鉄鋼で造られた高さ約41メートルの「生命の樹」があり、樹の幹や枝に群がる大小様々292体もの生物模型とともに、生命の進化の過程を表現したものでした。私も、2018年3月19日より一般公開された際に観に行き、その得も言われぬ美しさとパワーに圧倒されたのを覚えています。

実は、そこにも高さ約3メートル、全長約11メートルにもなる第4の顔「地底の太陽」も展示されていたのですが、なんと撤去作業以降、行方不明のままだそうで、現在展示されているのは復元したものなのです。

この国民的シンボルの産みの親は、「芸術は爆発だ」でお馴染みの芸術家 岡本太郎氏ですが、まさしく『ねこだま中のねこだま』な逸話満載ですので、簡単に紹介します。

・1970年に開催された万博の成功は、日本にとって先進国の仲間入りを果たす絶好の機会であり、「人類の進歩と調和」をテーマに掲げた。そして1967年、岡本太郎氏がテーマプロデューサーとして、このテーマを目に見える形で表現して欲しいと依頼を受けた際、「人類は進歩なんかしていない」と一刀両断。
太古の昔からそこに立っていたような土俗的な造形の太陽の塔は、〝近未来都市〟の風景をその存在感でぶち壊すものであり、岡本太郎氏は万博を支える安直な進歩主義にひとりNon!を突き付けた。
曰く「日本人の価値基準は二つしかない。西欧的近代主義と、その裏返しとしての伝統主義すなわち〝わび・さび〟的日本調だ」「その両方を蹴飛ばして、原始と現代を直結させたような、ベラボーな神像をぶっ立てた」。

・当初、テーマの展示スペースは建築家・丹下健三氏が設計した全長300m、幅100mという世界一の屋根で覆われたシンボルゾーンの中に収まる想定に対し、「優雅に収まっている大屋根の平面にベラボーなものを対決させる」と巨大な建造物を作る事態に。設計に大幅な変更を迫る前代未聞の建設になる上、その必然性も有用性もないにもかかわらず、アイデアが実現することになった。

・自身がプロデュースしたテーマ展示の予算やスペースのほとんどを生命の誕生から原始社会の営みまでを描くことに費やし、他館が未来技術で存在感や優位性を見せつけようと注力している中、生命の誕生、祈り、渾沌などを謳い、世界から仮面や神像を集めて呪術的な展示空間を現出させる異端ぶり。そこに込められたメッセージは「万博の価値観なんか信じるな」「人間の根源に帰れ」。

・「前衛が国家に加担するのか」と批判された際、「反博?なに言ってんだい。いちばんの反博は太陽の塔だよ」と嘲笑った。その太陽の塔も、1975年には撤去されるはずだったが、市民の保存運動によって永久保存されることに。大衆の心まで掴んだ前衛芸術家であり、異物だったはずの太陽の塔のみが今なお残り続けているという皮肉のような結果につながった。

敬愛なるTAROさん、お名前は完全に犬系ですが、魂は間違いなく”猫魂”の完全無欠の『ねこだまなおとな』です。

ご一読いただきまして、ありがとうございました

それではみなさま、よいあけがたを!