2025.08.04

花に水を

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今日もあけました!

先週、「ねこだま」もあけましたが、その記念すべき8月1日のAKEGATA LOGのタイトルは「心のずっと奥の方」でした。ピンときていた方もいらっしゃるかもしれませんが、The Blue Heartsの不滅の名曲「情熱の薔薇」から引用させていただきました。私の大好きな曲のひとつです。その歌詞すべてが非常に素晴らしいと思うのですが、中でもお気に入りのフレーズは、

「いつまで経っても変わらない そんな物あるだろうか」
「見てきた物や聞いた事 今まで覚えた全部 でたらめだったら面白い」
「答えはきっと奥の方 心のずっと奥の方」
「なるべく小さな幸せと なるべく小さな不幸せ なるべくいっぱい集めよう」
「情熱の真っ赤な薔薇を 胸に咲かせよう 花瓶に水をあげましょう 心のずっと奥の方」

もはや解説めいた説明は不要と思いますが、私がこれまで綴ってきたことの想いと大いに重なる、今の時代にこそ、ぴったり当てはまる言葉の数々だと感じます。

そんな名曲がリリースされたのは、なんと35年前(!)の1990年7月25日。6枚目(自主制作盤を除く)のシングルは、レーベル移籍後第一弾だったそうです。私が中学生の頃で、TBS系ドラマ『はいすくーる落書2』の主題歌としてオリコン1位を獲得し、50万枚超の大ヒットを記録しました。

パンク・ロックバンドが日本のシングル・チャートのトップに立ったのは、これが初の快挙だったそうです。パンク・ロックのイメージを一言に集約するならば、「反骨精神」ではないかと思いますが、その刹那的でどこか危うさをも孕む、反抗的な攻撃性の強い「破壊」「暴力」の表現面が多かった中、甲本ヒロトさんの詞や曲には、ものすごく人の心の襞に染み入るような、どこか純粋で繊細さを纏うやさしさと、大胆で無邪気に開け放つ自由さを持っていたと感じます。当時、中高生のみならず、老若男女の心を掴み揺さぶる力があったからこそ、幅広い層から支持された結果の1位だったのでしょう。

特に、私がこの曲に対して持った自由で大胆なイメージの象徴は、”サビが1か所しかない”ことでした。かの有名なサビは、実際には最後の最後にやっと出てきたと思ったら、そのたったの1回だけで、あまりにも短く「食い足りない」(もっと聞きたいし、もっと歌いたい)と感じてしまうほどの違和感であり、とにかく衝撃的でした。でも、その「常識に囚われない」あたらしさが、大ヒットにつながる独創性であったわけですから、面白いですね。

当時は、心の荒れた生徒とその気持ちに真っ直ぐ向き合う教師という構図の学園ドラマがいくつもありました。この歌詞からも、”学校教育の知識”や”大人社会の常識”に対しての大いなる疑問が感じ取られますが、35年経った今も色褪せないどころか、その核心、本質を突いているが故に、世に投げかけられたメッセージはより輝きを増し、眩いばかりの光を放ち続けているのでしょう。

そして、温かさを兼ね備えた、哲学的とも言えるこの歌詞の成し得る業と言える出来事は、2022年12月24日に絵本として発売(!)されたことでした。凝縮された言葉たちに深遠なる魂が宿っているからこそであり、それを生み出された甲本ヒロトさんは、まさに唯一無二な伝説的存在という相応しく、『ねこだま(猫魂)なおとな』認定を勝手にさせていただきます。笑

「情熱の薔薇」が、見事オリコン1位を獲得した日から、今年の8月6日でちょうど35年。(今日はその周年の前々夜祭⁈)
今を生きるこどもたちの、あたらしいまなびそだちの場「ねこだま」も、ここから息の長い物語をゆっくりと紡いでいけるよう、心の奥底に咲く大切な花々への水やりを、丁寧に続けてまいります。

ご一読いただきまして、ありがとうございました

それではみなさま、よいあけがたを!