2026.08.18

必生

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今年5月に鹿児島県の知覧特攻平和会館、この8月には広島平和記念資料館や原爆ドーム、大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)などに訪れました。

改めて感じたのは、戦時に植え付けられた意識や言葉の怖さでした。

「必死」

読んで字のごとく、「必ず死ぬこと」を意味します。戦時における日本兵には、現代のような「死ぬ覚悟で全力を尽くすこと」を表すものではなく、文字通り国のために必勝を期して死ぬ”特攻隊”や”回天(人間魚雷)”という常軌を逸した戦いが実際に繰り広げられていました。

この数日、戦争関連の映画をいくつか観ましたが、その中のひとつに戦後80年(2025年)の終戦記念日に上映された「雪風 YUKIKAZE 」で、印象的な場面がありました。

「九死に一生はあっても、十死零生などという戦法はない」
「人間性に反する」

竹野内 豊さんが演じた艦長が、特攻作戦を批判して口にした台詞です。

「十死である必死」が是であってはならない。でも、全力で頑張ることを意味する象徴的な言葉として、今でも根強く「必死」という表現は、日常的かつ当たり前のように使われています。
必死さが足りないとか、もっと一生懸命に取り組めとか、命懸けで臨めなどと言います。それどころか、死ぬ気でやれなんて、はっきりと「死」を公然と声高に口にする世の中は、冷静に考えると恐ろしい社会です。日常的に「死への圧力」が異常なほど高い文化になっていることに気づかねばならないと思うのです。
その証拠に、日本は先進国の中でも最も自殺が多いという事実があります。

厚生労働省のHPにも

日本の自殺死亡率は国際的にみるとまだ高く、毎日新たに50人以上の方が自ら命を絶っている状況が続いています。また、近年深刻さを増しているこども・若者の自殺も喫緊の課題です。

”1960年以降の主要先進7か国の自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)をみると、他の国が最も高くなっている時期もありますが、1998年以降のほとんどの期間において、我が国の自殺死亡率は最も高くなっています。”


”2024年における年齢階級別の死因をみると、男女計では、10〜39歳の第1位は自殺となっています。男女別にみると、男性では10〜44歳において第1位が自殺となっており、女性でも10〜34歳で第1位が自殺となっています。
男女別の10〜14歳、15〜19歳を対象に、1980年から2024年までの自殺、悪性新生物、不慮の事故、先天奇形、変形及び染色体異常、心疾患の死亡率の推移をみると、不慮の事故を筆頭に、自殺以外の死亡率が減少しているのに対して、自殺死亡率のみが漸増しており、近年における死因順位の上昇につながっていることが分かります。”

愕然とする実態です。。。
「生きる」ことに対しての意識の低さにおいて、圧倒的な「後進国」であると認めざるを得ないでしょう。
「必死」(や上記のような”頑張る=死”に結び付けたあらゆる言い回し)を撲滅すべきだと心底思います。

必勝のために必死になるのではなく、どんなことがあっても最後は必ず「生きる」を最優先にすることを明確に掲げ、口にする国・社会・企業・学校・家庭…でなければならないはずです。、

「必生(ひっしょう)」

を不変的かつ普遍的な価値観として据えていきましょう。
そうすれば、必ず笑みをたたえられるような世の中になると思います。

ご一読いただきまして、ありがとうございました

それではみなさま、よいあけがたを!