2026.03.19

物語

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本日もあけました!
いよいよ東京も開花宣言。なんのって、もちろんサクラだ! って…なんか似た響きのものがあったなぁ…。

なんだっけって、サグラダ・ファミリア! はじめは建築家フランシスコ・デ・パウラ・デル・ビリャールに委託され、礎石が築かれたのが1882年の3月19日。非常に繊細で美しい細工があらゆるところに施されることになった建物に相応しい日ですね。

デル・ビリャールは、協会との意見の相違によってプロジェクトを放棄し、アントニ・ガウディが1883年後半にプロジェクトを引き継ぎました。ガウディはデザインを完全に再構想し、前例のない革命的な建築ビジョンを創りました。建設はスペイン内戦(1936~1939年)中に大きな苦難に直面するなどもあって、かつては完成するまでに200~300年かかるとまで言われ、その後、新しい技術の進展などにより完成の見通しが早くなったり、またコロナの影響で先になったりを繰り返しながら、遂にガウディ没後100年にあたる今年2月に高さ172.5メートルの世界で最も高い大聖堂となりました。それでもなお、全体の完成は2034年の見通しだそうです。

そんな悠久のスケールのプロジェクトは、なんと2018年にようやくバルセロナ市から建設許可を得たというのです。それまで、130年以上もの間ずっと”違法建築”だったというから驚きです。しかも、ガウディが1885年、当時の自治体に建築許可を申請したのが無許可のままになっていたことが2016年に判明したというのですから、開いた口が塞がりません。その後の10年間でサグラダ・ファミリアがバルセロナ市に3600万ユーロを支払うという金額のスケールも桁違いですが、未完の教会は依然建設中にもかかわらず、一部の建物が世界遺産に登録され、ガウディの最高傑作とまで称される異次元の建物です。

この尋常ならざる存在に、子育てをされているすべての親御様に勇気を感じてもらいたいと思います。はっきり言って、冷静に”建築の仕事”としては話にならないどころか、大問題ですよね。納期はふざけてるとしか言いようのないほど遅すぎというか、未だ本当に完成するのかさえわからない。法的にも違反し続けて、とんでもない金額を別途払う羽目に。それなのに、市を代表するだけでなく、国の、世界の至宝として多くの賞賛と支持を得ているのです。「未完の大器」のスケールが大きすぎて、本来すべて”マイナス”評価に値することが、とてつもなく”プラス”に転じているのですから。
そう考えれば、こどもだって、社会人になってもまだまだ完成なんてことはなく、ましてや小中学生時分など未完中の未完です。そもそも、だれしも死ぬまで一生未完成のままだと言うのが本当のところでしょう。ひとたび完成を迎えてしまったら物語は終わってしまいますしね。

カタルーニャ語では「サグラダ・ファミリア」の意味は「聖・家族」だそうですから、名は体を表すかのように、真実を見せてくれているのかもしれません。人間だれしも未完であり続けるのだから、当然ながら家族も完成などない。勝ち組だの負け組だのクダラナイことを言うのはやめましょう。あなたの、わたしの、みんなの物語はこの瞬間も紡がれている真最中で、物語の結末が見えるのは命果てる時でしかなく、それまではめくるめくスクラップ・アンド・ビルドの連続で、建材を地道に積んだり崩れたり、ほんの少しずつ彫られ刻まれ、補正していく過程の先に、まったく想像もできないほど素敵で素晴らしい姿になっていくものだと本気で信じてみましょう。

サクラでさえ、毎年開花の時期は微妙に異なるし、もちろん種類によっても大きく違います。人明開花の時は、完全にバラバラです。こどもの、自分の、「果てしない、終わることのない物語」として、人生の”マイナス”ばかりに思える展開を楽観的に生きましょう。だって、数学でも習いましたよね。”マイナス”×”マイナス”は”プラス”になるって。サグラダ・ファミリアの最大の魅力は、「終わらない」ことですから、結果を急いでしまったら、つまらない物語で一巻の終わりになっちゃいますよ。

ご一読いただきまして、ありがとうございました

それではみなさま、よいあけがたを!