2026.03.10

魂の塊

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本日もあけました!
昨日、受け手の感性の話をしましたが、「感性の塊」のような方がいらっしゃいました。

1930年(昭和5年)3月10日が命日となった、金子みすゞさんです。その短い生涯は、大正デモクラシーと呼ばれる、労働者や女性の権利などが声高に叫ばれていた時代と重なります。こどもの教育においても民主的な思想を背景に、個性や感性を伸ばすといった運動の気運が高まっていた頃です。また同時に、スペイン風邪の未曽有の世界的パンデミックや関東大震災といった大きな出来事にも見舞われた激しい環境変化の時代を生きたのでした。

これを聞いて、なんだか似ていると感じませんか? そうです。まさに現代も共通する境遇がありますね。世界を揺るがすほどの東日本大震災やコロナによるパンデミック、そして時を同じくして女性活躍の潮流やニューノーマルの追い風により一気に進んだ働き方や学校教育のデジタル改革といった激動の時代は、本当に酷似しているように映ります。

彼女は、大きな変化の時代を経験する中で、”見えないもの”に対する本質的で温かい眼差しや”見えない世界”に心通わせ想いを馳せる感性を磨きあげたのでしょう。特に大きな影響を受けたとされる同時代の詩人・西條八十さんの「視点を逆転」「想像を飛躍」する力を身につけ進化させた先に、ほかでもない独特の魅力が際立つに至ったようです。

そんな「感性の塊」のような彼女は、山口県の日本海に面した漁師町(現・長門市仙崎)で生まれ育ったと言いますから、なんだか猫魂の塊のように思えてなりません。金子の中には「ねこ」がいますしね。感性の塊の猫を略して「かねこ」なんではないかと思ってしまうほどです。しかも、本名は「テル」ですから、こどもの埋もれた力を照らし、秘めた可能性を引き出し伸ばす存在そのものに見えます。

彼女のいなくなった昭和に、戦争に伴う言論統制によって、こどもの自由や個性は再び色を失うことになりましたが、今でも金子みすゞの詩がこれほどまでに愛され支持されているのは、その不遇な状況が未だに続いている証でもあるでしょう。

彼女のあまりにも有名な、だれもが知る詩はみなさんの頭にいくつも浮かんでいることと思いますが、私からは「明るい方へ」を改めて読んでいただきたいと推挙します。

こどもたちの心も、日出でる「あけがた」を待ち焦がれているのではないかと。

ご一読いただきまして、ありがとうございました

それではみなさま、よいあけがたを!