2026.03.09
錯誤
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本日もあけました!
3月9日と聞くと、卒業式の定番ソングが浮かびますね。
「あー、レミオロメンの歌ね!」と想起してくださった方、ありがとうございます。見事「不正解!!」です。笑
完全な”ひっかけ問題”でした。私自身、「3月9日」の詩も曲も大好きですが、卒業式って別に「3月9日」じゃないよね? という疑問を、はじめてこの歌を聴いた時から抱いていました。でも、確かにMVも卒業式を描いたシーンではじまるので、卒業テーマではあるんだろうなと思いつつ、なぜ「3月9日」と特定されているのか? を調べたのです。
結論から言うと、ボーカル藤巻さんの幼馴染が「3月9日=サンキューの日に結婚する」ことから、そのお祝いとして夫婦のために送ったものだったそうです。したがって、「感謝の日」というインスピレーションとともに、2人の人生が豊かになっていくよう願いを込めて作ったという、まったく卒業式とは関係のない歌です。それが、先述のMVの印象に加えて、”日本人の感性”として春の訪れは別れと出会いの交錯する、あたらしい一歩を踏み出す時期という観念が下地としてあるが故に、無意識のうちに卒業と結びついたのでしょう。
これを踏まえて改めて歌詞を見直してみれば、確かにこれからともに歩む夫婦の歌だということがはっきりわかると思います。また、MVもその観点でみると、結婚式のシーンが本来のストーリーの核だということに気づけるはずです。
世の中には、「伝え方が9割」「話し方が9割」のような俗に言う”9割本”が世に溢れ、またそれに呼応するかのように「伝わるプレゼン」のようなテクニカルなものまで、発信観点のものが大半を占めています。もちろん、相手の立場に立って聞きやすく、覚えてもらいやすい表現や声のトーンなど工夫をすることで、伝え手の目的である、いかに「相手の関心を向けてもらえるか」「理解の先の行動にまで移してもらえるか」のために八方手を尽くすことも必要でしょう。なにより、自分に不足している点、よりよくできること等を改善していくこと自体、己の成長ですから。
ですが、身も蓋もない話をしてしまうと「受け止め方が10割」だと思うのです。どれだけ手を尽くし、正しいことを言ったとしても、たとえば相手の心が頑な場合など、だれの言うことにも耳を傾けない方には、まったく効力を発揮できないどころか逆効果なことさえあります。あるいは、同じことを同じように言ったとしても、なにを言ったかではなく、だれが言ったかで決まる場合には、誠心誠意向き合ったとて、どうにもならないことだってあります。わかりやすい例では、永遠に絶えることのない宗教間の争いや固有な組織風土における決裁など、思い当たる節はあるかと思います。個人レベルでも、最近で言えばハラスメントなど受け手次第の側面が大きく、極論10割それで決まってしまう恐れがあると思って接しなければならない状況だってあるでしょう。
ですから、私はこれからの時代、まさにそういった「感性」が非常に重要な時代になってきていると強く感じています。いつの時代もジェネレーションギャップなど同じ時代を生きる世代間でさえ、ズレや対立が生じてきたわけですが、単に世代という一言では言い表せないほどバラエティーに富んだ個の価値観や特性が顕在化してきている時に、そこにどれだけ「感性」を働かせて包摂できるか、「受け止め方」が大変な差を生むと思うのです。結果として、そういう受け止め方のできるひとは、伝え方にも自然と表れ、より相互にコミュニケーションが円滑に進みやすくなるのではないかと。
伝わらないひとに向けて、諦めずになんども繰り返し説くことも必要で大切な局面も依然あると思いますが、それとて”相手の受け止め方が変わった時にはじめて伝わるようになる”のが実態でしょう。
ただ、面白いことに、その受け止め方次第というのも、必ずしも悪い事ばかりではありません。「3月9日」のように、本来の作り手の想いや主旨とは大きくズレてしまったとしても、聴き手の誤解による共感が大きなものとなり、広く支持され長く愛される名曲として継がれていくというのも、はかりしれない爆発力を生むことになり得るからです。
人生と一緒で、計算し尽くした(と勘違いしている?)ものなんて、たかが知れている。”はかり知れる力”は、そう大したものではない。”はかり知れない力”に委ねるという感性を持てるかどうか、これからの時代を生きるこどもたちには、そんな感性のおとなが身近にいるかどうかが大きな分かれ目になりそうです。
こどもたちに、必死になってあの手この手と策を講じるよりも、目の前にいる尊い存在を純粋に有難いと感じ、その埋もれた魅力や可能性を感じられる力を磨くことができれば、いずれ彼らが大きくなった時に心からの「サンキュー」の歓声を交わし合える日を迎えられるのではないかと思います。
ご一読いただきまして、ありがとうございました
それではみなさま、よいあけがたを!
