2025.11.20
総計
-99-
本日もあけました!
昨日の数字の続きです。節目となる主だった数字を太字にしていましたが、たとえば以下のような事実が見て取れます。
35年前には915万人いた小学生が、1997年度には800万人を割り、2012年度に700万人、そして遂に昨年度600万人を下回りました。(当然ながら減った人数そのままに進級進学していくため、中学生も連動して200万人ほど減少し、小中学生全体で500万人以上も減りました)
逆に不登校生の全体数字は、5万人刻みの数字を大台として区切ると、1997年度に10万人を突破、2018年度には16万人、2021年度には一気に24万人、以降は毎年度のペースで22年度29万人、23年度34万人、24年度35万人とどんどん記録的数字を塗り替えていきます。(10万人突破は、中学生では早々に1998年度時点で、小学生では22年度に到達しました。昨年度の最新数字を1991年度と比べると、小学生が10倍超、中学生は約4倍、全体で約5.3倍です)
割合については、1998年度に全体で1%を超え、2020年度に2%を、22年度には3%を超えましたが、中学生は1998年度にすでに2%を上回っていました。3%を超えたのは2016年度ですが、ここから怒涛の更新となり、20年度4%、21年度5%、23年度には6%を大きく超える割合です。
これは、それぞれ学級当たりで換算した場合、公立小学校の35人学級(令和7年に完了した前提)では1クラスに0.8人、公立中学校は40人学級(令和8年度以降に中学1年生から順次35人学級導入予定)として2.7人程度となります。
これらを見渡した時に、私が常々訴えている「少子化でこどもの数がこれだけ減っているにもかかわらず、不登校生の数がここまで増えているのは異常事態」ということを実感いただけるのではないでしょうか。
数字を読み解く中で、大きな変化のポイントに気づかれた方も多いと思いますが、2019年度後半からはじまった未曽有のパンデミック、コロナ禍が大きく影響しているだろうという点がありますね。20年度以降に一気に数字が跳ね上がっている背景として間違いないと推察されます。おとな以上に、こどもたちにとって心身の負担がとてつもなく大きかったであろう非常事態宣言による一斉休校やソーシャルディスタンス等、これまでの当たり前の日常が一瞬にして消え去り変貌したことは、少なからず不登校を誘発する面もあったでしょう。さらに、ニューノーマルとして、おとなも在宅で仕事ができるようになるなど、職場や学校に通う意味や本質が問われ、これまで当然と思い込んでいた「社会通念」のパンドラの箱が開いてしまったかのような出来事でもありました。「選択肢」が生まれたことによって、ほとんど会社に行かなくても仕事ができるだけでなく、むしろ移動時間などの「あらゆる無駄」がなくなったことでパフォーマンスもあがり、自分や家族との時間も「健全」に取れるようになるなど、まさにあたらしい形態を手に入れられるようにもなりました。そんな姿や状況を目の当たりにしたこどもたちも「なぜ学校に行かなければならないのか(通う必要があるのか)」と気づいたのも当然のことでしょう。オンラインで「在宅」が実現できるようになったのと同じように、鋭いこどもたちは「AIなどですぐに調べられることをなんで一生懸命覚える必要があるのか」「なんでみんなで一緒に同じことを同じペースで同じようにできないといけないのか」等々、あらゆる矛盾や無意味、無駄にまで気づいたことでしょう。
そしてもう1点、小中学生全体の不登校の数が「12年連続」増え続け、遂に「35万人」を超えた、という大変衝撃的な数字について、全体の数字に”丸められて”見えにくくなっているものがないか気になります。
割合に関して全体で3.86%、「1,000人に38.6人(全国平均)」とレポートされていますが、上述の通り、中学生の割合ははるかに高いものです。そして察しの良い方は、小学生の学年ごとではどうなっているのか?にも考えが及んだと思います。想像に難くないと思いますが、高学年になればなるほど、中学生と同レベルに近づく傾向であるはずです。実際その内訳は、小学生の割合が1年生から6年生まで順に0.9・1.5・1.9・2.5・3.1・3.7(単位%)、中学生も1年生から3年生まで同様に5.6・7.2・7.5となっています。
全体で3.8%台と聞いて受ける印象と、小学生で約2.3%、中学生で約6.8%、ましてや上記の学年別では~となるとガラッと見え方が変わる面もあるのではないでしょうか。
私が取り組んでいる「あたらしい”まなびそだち”の場」が対象年齢を8歳~15歳の小学3・4年生~中学3年生にしているのは、自我が芽生えて、かつ色々なことをある程度自分でできるようになってくる(おとなや親からすればまだまだでも…)という年頃を捉えたものですが、奇しくも不登校の割合の増加と重なりを感じます。
「総計」だけで捉えて判断するのでは、あまりにも目が粗過ぎて早計かもしれない。その粒度を上げて捉えるためには、こどもへの関心 ‐決して我が子だけではない- を社会全体でもっともっと上げていかねばならないだろうと感じています。
ご一読いただきまして、ありがとうございました
それではみなさま、よいあけがたを!
