2025.07.31

猛暑の猛虎

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今日もあけました!

本日は、ちょっと趣向を変えた話を。
昨日、日本プロ野球界において、セ・リーグの阪神タイガースが、まだ7月というこの早い時期に、優勝マジック39を点灯させました。今年は藤川球児監督率いる新体制のもと、独走態勢に入っていますが、直近の優勝を思い返してみると、一昨年のことでした。2023年に18年ぶり6度目となるリーグ優勝を果たし、38年ぶり球団史上2度目となる日本一にも輝きました。岡田彰布監督(当時)によるチームスローガン「アレ(A.R.E.)」が推進力となり、同年の「新語・流行語大賞」の年間大賞を受賞したことも印象的でした。選手が優勝を意識しすぎないよう、普段通りにプレーできるようにと使っていた「アレ」という独特の言い回しが話題となり流行しましたが、もうひとつ具体的な戦略面で大きな話題になった点がありました。

それは、「四球数」の多さと、それに比例する「出塁率」の高さでした。チーム四球数は12球団トップを記録、同年のリーグ平均や前年シーズンの阪神の実績数と比べても、100以上多かったほどでした。そしてその象徴的存在だったのが、当時の四番打者、大山悠輔選手でした。2023年シーズンの成績の中でも特筆すべき点として挙げられたのは、リーグ最多を数えた99もの四球獲得数に加え、最高出塁率のタイトルを獲得したことです。
このように主に打撃面で大きく注目されましたが、実は投手陣においても、チーム全体の与四死球はリーグ最少を記録し、四球を「与えなかった」ことも勝利に貢献した重要なポイントだったのです。

明らかに、投打両面における「四球」が念願の優勝を果たす上で大きな要因の一つになったわけですが、その背景として、岡田監督が球団フロントに掛け合い、「四球を安打と同等」の査定として承認させたことがありました。時には「見逃し三振OK」まで出すほど、見極めの重要性を説いたわけです。その手腕は高く評価され、正力松太郎賞選出の理由の一つともなりました。

「なんでこんな野球の話をしだすんや⁈」とポカーンとなっている顔が浮かんできましたので、改めてなにを言いたかったかというと、見事なまでに「本質を突いている」象徴的な実例だと感じたからです。野球の試合で勝つために必須の「得点」をする上で大事なのは「出塁」することです。塁に出ないことには得点につながらないのであって、いくら素晴らしい打球を飛ばしてもアウトになってしまえば、勝利への貢献はできないのです。でも、打者にとって「見逃し三振」は最悪とされる。これまでの常識であれば、「せめて空振り三振しろ!」と監督・コーチ、なんだったらファンや解説者からも言われ続けてきたぐらいです。
そこで、塁に出る=ヒットでもフォアボールでも同じ、という見方とともに、精神論ではなく、きちんと評価面を伴わせることで、選手たちが安心して打席に立ち、自信を持って見逃せるように、上層部ともかけあって環境をつくってくれたのです。

投手にしても、ヒットでもフォアボールでも同じならば、しっかり勝負して打たれた方が良い=みすみす簡単に四球を与えて出塁させてしまうより断然マシ!と思えれば、思い切って力強く投げ込むことができるでしょう。

旧来の価値観に囚われていた他球団の監督・コーチにとっては「目鱗」な出来事であったはずですが、岡田監督は他者に先駆けて、「自分の進むべき道を照らす」力でもってそれを実践し、選手たちにとっては、先を見通す力や迷いを断ち切る決断力を与えてくれる存在として、優勝経験のない若い選手たちの”未知なる道を歩む”上で、未来を照らす目「キャッツアイ」であったことは間違いないと思うのです。

虎は、ネコ科ですからね~。

ご一読いただきまして、ありがとうございました

それではみなさま、よいあけがたを!